第35回日本がん転移学会学術集会・総会

第35回日本がん転移学会学術集会・総会

会長あいさつ

第35回日本がん転移学会学術集会・総会
会長 二口 充
山形大学医学部 病理学講座

第35回日本がん転移学会学術集会・総会の開催にあたり、ご挨拶申し上げます。

このたび、第35回日本がん転移学会学術集会・総会の会長を拝命いたしました、山形大学医学部病理学講座の二口 充です。本学術集会は、2026年7月30日(木)、31日(金)の両日、山形テルサにて開催いたします。

本年度のテーマは、「腫瘍微小環境の制御による難治性癌克服への新戦略」です。腫瘍微小環境(Tumor Microenvironment:TME)は、がんの再発や転移、治療抵抗性を理解するうえで、中心的な概念として位置づけられてきました。腫瘍細胞のみでは説明しきれない現象が、線維芽細胞や免疫細胞、血管内皮細胞などとの相互作用を通じて、次第に明らかになりつつあります。本学術集会では、こうした相互作用を「制御する」という視点から捉え直し、基礎研究の知見と臨床の課題とを往復しながら、難治性癌にどのように向き合うかを議論したいと考えています。

本学会の特徴は、内科、外科、病理、基礎研究といった多様な分野の研究者が一堂に会し、分野横断的な議論が自然に生まれる点にあります。発表を聞いて終わるのではなく、その場で疑問を投げかけ、考えを共有し、次に何をすべきかまで話が進む。そうした密度の高い議論の場となることを目指しています。口頭発表やポスター発表に加え、質疑応答や休憩時間、懇親の場でのやり取りも含め、研究者同士が自然に話し始められる雰囲気を大切にしたいと考えています。

私自身、同じ空間で同じ発表を聞き、その直後に言葉を交わすことで、議論が一気に具体化する経験を何度もしてきました。図表を前に解析の前提や見方を確認していく中で、新たな実験計画や共同研究の方向性が見えてくる。こうしたやり取りこそが、研究を前に進める原動力になると感じています。

本年度は、国際癌転移学会(Metastasis Research Society:MRS)とのジョイントセッションを予定しており、国際的な視点からの議論も深めてまいります。国内外の研究者が同じ場で議論することで、論点がより具体化し、新たな連携へとつながることを期待しています。

また、開催地である山形は、豊かな自然と食文化にも恵まれた土地です。学会の合間に肩の力を抜いて語り合う時間が、思いがけない発想や次の研究につながることもあります。研究の議論だけでなく、そうした時間も含めて、山形での二日間を過ごしていただければ幸いです。

日本がん転移学会は、難治性癌という共通の課題に、分野や立場を越えて向き合ってきた学会です。山形において、議論と出会いの濃い二日間となることを願っています。多くの皆様のご参加とご発表を心よりお待ちしております。